金と負け惜しみ

恩着せがましいことを言い、自身の金を守るためにこちらの労力を搾取してこようとする輩というのは結構いて、そういう輩は当たり前に信用できないし、そんなヤツに乗るくらいなら一人でのたれ死んだほうがマシだと、最近より一層強く思う様になった。
そんなメンタリティーでここ最近過ごしていたものだから、社会で起きている大きく悲惨な出来事にもかなり鈍感になっている。
大体こういう時は自省を兼ねた文章の書きどきなんだろうなと思い、書いている。

遠い親戚に80歳近いジイさんがいて、とにかく半端じゃない金を持っている。関西圏の裕福な都市の政治屋をやっていたことから、何かしらの裏の悪事に手を染めていると見受けられる。どういう経緯だか知らないが、一般人は普通もらえない、天皇のメダルだか勲章だかを数年前に貰った事もあるらしい。
そのジイさん宅が増築をし、パトロンをしている日本画家専用のギャラリーを作ったというので、先日家族親戚総勢10人で見に行った。
その時飯の席で、その元政治屋のジイさんがある家具屋へ行きテーブルを値切った話をしていた。数十万円のテーブルを「5万の価値しかワシは感じないからその値段で売れ」とその様に言ったらしい。
結局、そんな無茶なねぎり行為は受け付けられず、買うことはなかったらしいのだが、「ワシだって生きて行かなあかん、他人の事を慮ってばかりいられない。ワシの今があるのは火中の栗を拾ってきたからなんや。ワシは火中の栗を拾ってきたんやー!」などと、珍しく熱を入れて話していた。
普段は嘘くさいニコニコ顔を作り、絶対に他人を悪く言わない事を徹底しているジイさん。思想が見える、その様なストレートな話は今までに聞いたことがなかった。
過去とはいえど、これが政治家をしていた人間の思想かと、怒りが湧いた。「お前みたいな考えの糞ジジイどもばかりだから、この国はこんな有様なんだよ!」と超言いたかったが、間違いなく場が荒れそうなので、心の中で一人つぶやき、堪えた。

SNSでは顕著だが、その人間の「価値」がわかりやすく数値化される。そのような現代では、他人の足元を見て値踏みすることも容易く、非対面ゆえに想像力も鈍感になってきており、その爺さんみたいな自己中心的人間へと大半の人間が転化していっていると感じる。「人間」を無視して数字を絶対化してしまうその裏には、現代人の余裕のなさや不安が見える。それに同情と共感はないことはないが、人間やモノの本質はそこではないと、思いたいが、基本そんな理想論は屁のつっぱりにもならないし、これからも日本の人間は落ちるところまで落ちるのだろう。
まあ、所詮、数字を味方にできない俺のただの負け惜しみといえばそうなのだろうし。まあ、そんな所で。

MA [em-ei]

1985年 アジア・日本生まれ 東京都在住

2012年2月24日の自身の誕生日に初個展「BORN IN JAPAN”[F*** you, I won?tdo what you tell me ]」を活動の声明とし開催して以来、アーティストとして活動を続けている。
油彩での写実的表現から、ステンシルを用いてのスプレーペイント、自身の街でのグラフィティから着想を得たペンキで描かれる「ドリップレター」など、各種油性塗料を主に使用したペインティング作品、そして雑誌、写真、ドローイング、文字等を元にアナログとデジタルの双方でのコラージュ作品、またそれらを組み合わせて作品制作をする。

WEBサイト : zmawamz.jp/
ショップ : shop.hidden-circus.com/


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