Blues

先日、A24のAftersunという映画を見た。俺と同年代のイギリス人女性の監督の作品で実体験を元に幼少期の頃に父親と二人でいったトルコ旅行を描いている。あまりにも強烈で、メンタルをズタボロにされてバッドに数日間埋もれた。有料視聴であったため、貧乏根性で2回見た。そのため、芯の芯まで来てしまった。
映画を見た翌日朝には、水でバシャバシャと顔を洗いながら内容を思い出し、水の流れる音に紛れて、突如、結構泣いた。
娘がいる「ダメな」父親としてはいろんな感情が喚起され、とても激しく揺さぶられた。今年見た中で一番激しい映画だった。
素人が、いちいち、批評家ぶって映画批評を繰り広げるほどオサムい事はないので、ここでこの話は終わる。

日本語のラップは最近もう全く聞きたくなくなってしまい、聞いていないのだが、Youtubeでレコメンドされた十影というラッパーの曲が結構いいなと最近思った。
もう10年以上前、LuckEndというグループの頃の彼の曲を、ある人に笑いながら聞かされたことがあったが、それ以外には聞いたことがなかった。
なのでそれ以上の情報は俺の中にはなかったのだが、彼は最近、離婚してシングルファーザーとなったらしく、そんな境遇を色々と歌にしており、ブルースが煮詰まったいい味を出していた。

思えば、俺はブルースが好きだな、そう感じる。濃度は様々だが、好きな曲には大体ブルースが混ざっている。今パッと思い出してこの場に書けるほど音楽の知識はないのでそれは書けないが、特に好きなのはおじさんのブルースだなとふんわりと、なんとなく、思う。
最近隙を探しては見ている浅草キッドの玉袋筋太郎こと玉ちゃんのYoutube、居酒屋で酒を飲みながら駄弁るYoutube、あれにはかなり濃い「硬い」ブルースを感じる。だから好きなんだなと、今、思った。

あ、最近「街中華に行こうぜ!」がU-NEXTで見れることを知り、それも見ているのだが、それに強く背中を押されて、数年間ずっと気になっていたが躊躇していた近所の町中華に、ついに足を踏み入れることができた。
昼の1時過ぎに訪れたのだが、最大収容人数8人の店内には65~80までのおじさん3人+推定年齢75歳の店主1人、計4人のおじさんに囲まれて1人、半チャンラーメンを食べた。
時間も早かったので飲酒者は1人、俺の隣の推定75歳の土木作業仕事終わり(会話と足元から推測)のおじさんだけであったが、目玉焼きとしなしなの汁に浸かったキャベツを少しずつアテにし、ジョッキで緑茶ハイ。特にいいブルースを奏でていた。
半チャンラーメンを食しながら、4人のジャムセッション(会話)が俺の鼓膜を時に激しく、時に悲しく揺らした。1人、また1人とおじさんは店を後にし、最後食べ終わる頃、店内には店主と2人きり、祭りの後の物悲しさが漂った。
「ごちそうさまでした、おいしかったです!」出来る限りの最大かつ、ベストと思われるシャウトを送り、会計を済ませ「ありがとう、よろしくね!」と店主の声を背中に受け、店を出た。
あのブルースのコヤ、また行きたい。今度はあの超柔らかいドゥルドゥルの麺のラーメンをアテながら、瓶ビールを飲みたいと思っている。


MA [em-ei]

1985年 アジア・日本生まれ 東京都在住

2012年2月24日の自身の誕生日に初個展「BORN IN JAPAN”[F*** you, I won?tdo what you tell me ]」を活動の声明とし開催して以来、アーティストとして活動を続けている。
油彩での写実的表現から、ステンシルを用いてのスプレーペイント、自身の街でのグラフィティから着想を得たペンキで描かれる「ドリップレター」など、各種油性塗料を主に使用したペインティング作品、そして雑誌、写真、ドローイング、文字等を元にアナログとデジタルの双方でのコラージュ作品、またそれらを組み合わせて作品制作をする。

WEBサイト : zmawamz.jp/
ショップ : shop.hidden-circus.com/


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